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法律事務所の採用面接「何か質問はありますか?」に何と答えるか?

法律事務所への就活生からは、「面接前日に何を準備すべきか?」という質問を受ける。

これについては、
― 「何か質問はありませんか?」と言われた際に、質問したいことを3〜5つ考えておくと良いと思うよ、
と答えている。

そう回答すると、最近は、
― 具体的にはどのような質問がいいですか?
という更問いを受けることが多い。

これは、ちょっと難しい。というのも、
― 書類選考での順位に応じて聞ける範囲が異なる、
からだ(この辺りについては、「新・弁護士の就職と転職-キャリアガイダンス72講」70頁以下の「第12章 面接対策」を読んでみてもらいたい)。

たとえば、もし、相談者が「学部時代に現役で予備試験を2桁合格しました」という「優秀層」に位置付けられる方ならば、
― 聞きたいことを聞けばいいと思うよ、
という。つまり、相談者は「順当にいけば内定をもらえる立場」にあり、「内定を貰ったら、それを受けるかどうかを検討する準備」をしなければならない。

そこでは、
― 面接結果はいつ教えてもらえそうでしょうか?
― アソシエイトは大体、何時から何時まで働いているでしょうか?
― 自分がやりたい分野の事件はできるでしょうか?
― 留学にはいつ行けるでしょうか?
といった、「採用選考手続」や「将来の自分のキャリアプラン」等に関する質問をして、面接官に「他事務所と併願しているのだな」と推認されても、面接官の側が「うちの事務所を選んでもらうためにできるだけ希望に沿ったことを答えたい」と思わせることができる。

他方、相談者が「法科大学院を平凡な成績で卒業した」という程度で、書類選考では当落線上にいるにもかかわらず、「採用選考手続」や「自分の将来」について質問しても、面接官からは「あぁ、別にこの人はうちの事務所でなくてもいいのだな」と、志望動機が低いことを推認されてしまい(=書類選考での不利な地位を逆転する機会はなく)、順当に落選することになるだろう。

では、当落線上にいる就活生は、何を質問すれば、逆転を狙うことができるだろうか?

私は、「逆転のチャンス」を求めるならば、
― 今、応募している事務所の未来に関すること
を聞くべきであり、それが、間接的に、
― 自分の将来のキャリアプランにも合致するものであり、
― 自分がこれまでに学生時代に準備してきた勉強や活動の延長線上にある、
ということをアピールできること、にあると思っている。

少なくとも、そのような質問を受けた面接官は、「自分の所属する事務所の未来」について考えさせられることになるが、それは面接官にとっても「切実な問題」であるから、もしかしたら、「面接の流れ」を変えてくれる可能性を秘めている(と期待して)。

もちろん、「事務所の過去」について尋ねるのも、「真剣に応募しています」という意欲から出る行動であろう。ただ、「過去の事実」については、クライアントとの守秘義務とか、やめた弁護士やスタッフの問題もあり、「面接官個人の判断で何でも事実に基づいて話せる」というわけではない。「うちに来ないかもしれない就活生にあまり生々しい事実を教えたくない」という感覚もある。そのため、「面接の流れ」が悪化してしまうリスクがある。

その点、「未来」については、面接官個人の判断でも、抽象度を高めれば、単なる「個人的な展望」を語ることは容易である。だから、「面接の流れ」を考えても、「事務所の将来」(又は「面接官であるパートナー個人の展望」)についての「センスの良い質問」を考えてみることをオススメしている。


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