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就活生が「社会人風に礼儀正しく振る舞うこと」が裏目に出る事例(面談後の御礼メール)

司法試験受験生も、事務所訪問やOB訪問をして先輩弁護士に会った後に、
「本日は、お忙しいところご面談をいただきまして、どうもありがとうございました」
という御礼メールを送ることが増えてきた。

御礼メールに、
「大変に勉強になりました」「今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます」
と記載していると、なんとなく、「礼儀正しい」っぽい雰囲気は醸し出される。

でも、これ、メールを受け取った方からすると、
「自分が話したことのうち、何が勉強になったんだろう?」
「このメールって、誰にでも通用するテンプレだよね?」
と、すぐに気が付く。

実際、仮に、先輩弁護士が「何かあったら、またお気軽に連絡下さい」という返信をしても、それに対して返信が来るわけでもない。「形だけ御礼メールを送っている」というのはバレバレである。下手に御礼メールを送ったことが、何もしない失礼な就活生よりも、逆に「真剣に話を聞いていなかった」「実は志望動機が高くない」ことがバレた点で劣位に置かれることすらありうる。

これを避けるためには、「大変に勉強になりました」と書く際には、せめて、
「先生からお伺いした・・・・という点はとても勉強になりました」
という具体例のひとつでも加えたいところである。

また、それが採用面接を兼ねたものだったならば、
「緊張していたため、うまく説明できませんでしたが、私が・・・と質問させていただいたのは、・・・という意図から出たものでした」
などの補足説明をすることもできるし、より積極的には、
「面談では私が学部時代に書いたリサーチペーパーについて言及させていただきました」「稚拙な内容で恐縮ではありますが、勝手ながら、そのデータを添付させていただきました」
などと図々しく追加資料を提出するチャンスでもある。

それで選考結果を大逆転させられるほどに世の中は甘くないが、たとえば、後々になって、その事務所が内定を出していた修習生から内定を辞退されてしまうような出来事が起きた場合には、
「そういえば、落選させた中に、熱心に、自分が書いたリサーチペーパーを送ってきた(珍しい)受験生がいたよね」
などと思い出してもらえる可能性は高まる(他の落選者よりも印象に残すことができるため、補欠合格リスト内での順位を上げることもできる。実際、内定者に辞退された事務所が欠員を補充するための選考においては「次は内定を辞退されるのは絶対に避けたいので志望動機が高い応募者を優先する」という傾向が見られる)。

現実問題としては、御礼メールは、これを受け取った側に対して「返事をしてあげるべきなんだろうなぁ」という事務負担または精神的負担を生じさせるものである(さらに言えば、採用選考の結果が正式に出ていない段階で、結果を推測させるようなコメントをすることもできない採用担当弁護士にとっては、心苦しさを感じつつも、返事できずに放置する場合が多い)。

なので、就活生としては、客観的には、面談してくれた弁護士に御礼メールを送らずに済ませることのほうが礼儀正しい、ということも多い。ただ、就活生の側としては、
― 今日の面談で何か学んだか?
― 面接で何を言いそびれたか?訂正又は補足できる機会があれば、何を言うか?どんな資料を送るか?
― 次回以降への教訓は何か?
を考える訓練の場としては、「御礼メールを起案してみる」のは有益だと思う(そして、「どうせ放っておいても落選するならば、礼儀正しく落ちるのも、ウザがられて落ちるのも結果は一緒なので、一か八かで、ダメもとで御礼メールを送ってやれ」という行動に出た就活生の方が学べることが大きいかも(その人のキャラにもよるが))。


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