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エンタメ法務に興味を抱いて、Huluの法務部の求人情報を読み始めたら、エンタメロイヤー志望者に優れた職業機会を提供するものに思えてきた話

今、手許には、内藤篤弁護士の「エンタテイメント契約法(改訂版)」(商事法務、2007年)がある。我が家の三男(中学生)が、夏休みの宿題であるペーパーで「映画/アニメ業界」をテーマに選んだことから、映画やアニメに関わる法律書を依頼されて、「エンタメ法と言えば、内藤篤先生でしょ!」と思って、amazonで購入したものだ。

三男の学校が始まり、家に残された本を手に取ってみた。恥ずかしながら、内藤先生のご著書を開くのはこれが初めてだ(だから、第3版(2012年)の存在を知らずに、改訂版(2007年)を買ってしまった)。すると、まず、カバーのそでにある文章が目に入った、

「ある意味で「プロデューサー」とは、著作権法における「悪」を体現している。それは作家=著作者を抑圧し、権利を剥奪し、利益を吸い上げる搾取者として位置づけられていると言っても過言ではない。だが、そうした見方は多分に19世紀的なものなのではなかろうか。メディアが多様化し、作家をめぐるさまざまな「創作幻想」が破綻した今日、「プロデューサー」こそが作家に対して真の意味での活動の場を与えうる存在なのではないだろうか。われわれは、今こそ「プロデューサー」をめぐるそうした「タブー」から解き放たれて、エンタテイメントをめぐる取引や契約に対して、真の意味の合理性や道理を持ち込むべき時期にあるのである。」

内藤篤「エンタテイメント契約法(改訂版)」26頁

という序章の抜き書きである。これはカッコ良い文章だな〜、と思った(いい意味で「弁護士らしくない文章だ」と思った)。

そして、(来月の研修所での課外講義に向けた頭の体操も兼ねて)

「もし、自分がジュニア・アソシエイトからやり直すとして、エンタテイメント法の専門家を目指す場合に、どこで働きたい(≒修行したい)と思うかな?」

と考えてみた。

一瞬、ネットフリックスのような外資系の動画配信サービスは、面白そうに思えた。特にネットフリックスは、多数のビジネス書が出されていて、優秀な人材が集まった企業というイメージが強い。

ただ、米国系のIT企業で働く社内弁護士に後輩弁護士へのキャリア・アドバイスを求めた際に聞かれた、

「社内弁護士としてやり直すならば、絶対にヘッドクオーターで働くことをお勧めする。外資系企業の日本法人の法務部門において、ローカルでの地道な取組みが(事情を知らない)本社によって簡単に覆されてしまうことほど虚しいことはない。」

と言うアドバイスが思い出された。これは別にネットフリックスの社員から聞いたことではないが、「グローバル企業には、多かれ少なかれ、そういうことはあるのだろうな」と思わされた。

では、日本企業で、どのようなエンタメ企業があるだろうか?と思った時に、

「あ、そういえば、経済産業省のコンテンツ産業課で働いていた中本緑吾弁護士が、経産省の任期を終えて、日本テレビ系の動画配信サイトHuluの運営会社に転職し、その後、法務部長に昇進されていた。」

と思い出して、同社(HJホールディングス株式会社)のウェブサイトを開いてみると、「法務」の求人情報も掲載されていた。そこで、求人情報を見ながら、この会社、その事業、その担当業務、求める人物像やスペックについて眺めてみた。

まず、Huluは、米国企業として、2011年に、日本でのサービスを開始したが、その後、2014年から、日本テレビグループに加わっている。

一消費者の立場でも、日本の視聴者がテレビで放映されるバラエティ、ドラマやアニメを好んでいることはわかるので、テレビ業界の中でも勝ち組である日本テレビのグループに加わったことは、Huluのサービスを展開する上でメリットが大きかったのだろうな、と想像される。

次に、「事業内容」を見てみると、

と記載されており、「コンテンツ」の著作権を扱う法務の仕事が、本業そのものを支えている重要な役割であることを教えてもらえる。

また、「求める人物像」を見ると、

と、「エンターテインメント業界全体の価値を高めるべく」という、青臭い理想を持って働けるところに妙な魅力を感じた。

具体的な業務内容や、その業務に関わることに対する弁護士としてのキャリアの将来性については、今度、中本弁護士を訪ねて直接にお伺いしてみることとして、むしろ、ウェブサイト上では、「FAQ よくあるご質問」が充実しているため、働きやすさについて確認しておきたい。

FAQによれば、「勤務時間・勤務場所」については、

「リモートワーク」については、

との回答がなされている。

また、「休日/休暇」についても、

との回答がなされており、そして、さらに、ウェブサイト上には、有給消化率も紹介されており、そこには「79.1%」との最新(2023年8月1日)の実績が記載なされている。

ウェブサイト上の情報を分析する限りにおいては、かなり働きやすそうな職場であると思われる。次回は、実際のところを確認するため、法務部長の中本弁護士を直接にお訪ねして日々のお仕事の様子についてお伺いしてみたい。

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