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【「弁護士の就職と転職」note】就活生との対話:ファーストキャリア選択(大手法律事務所のうちどこがよいか?)

就活生
「大手法律事務所間の協定に基づく内定解禁日である8月1日が近付いていますが、大手法律事務所のうちのどこを選ぶべきかについて、アドバイスはありませんか?」

西田
「中小の法律事務所の場合には、リクルート担当の先生とは、入所後に一緒に仕事をすることが多いので、リクルート担当を見て、『この先生みたいになりたい!』とか『この先生と一緒に仕事したい!』という思いで選ぶのは良いけど、大手事務所では、リクルート担当の先生の人柄に引きずられ過ぎない方がいいと思う。」

就活生
「では何を基準にするのがよいでしょうか?そういえば、西田先生の著書(「新・弁護士の就職と転職」)には、四大事務所を「NA型(武家and管理型)」、「MHM型(武家and自由型)」、「NO&T型(公家and管理型)」、「AMT型(公家and自由型)」に分けていましたね。」


「新・弁護士の就職と転職」(2021年、商事法務)38頁

西田
「あれは、10年以上前に、当時の就活生(62期予定者)に聞いた対比を図示して紹介しただけなのでぼくが創造主ではないよ(笑)。」

就活生
「今でもそんな感じはします。」

西田
「傾向としては、『自由型』としていた事務所も管理が強まっている印象は受ける。その後、MHMも(パートナー単層構造を捨てて)ノン・エクイティ・パートナーの制度が創設されて随分と経つし、AMTでも、今年4月に、遂に、マネジメント・コミッティ(MC)が発足したことが報道されていたよね。」

就活生
「制度的に違うところといったら、どういう点なのでしょうか?」

西田
「わかりやすい点で言えば、パートナーの定年とか。」

就活生
「確かに、事務所のウェブサイトで、最年長のパートナーの修習期を比べてみると、AMTには、まだ33期、35期の先生方がパートナーとして残られているのに対して、NAで残られているのは、36期で、NO&Tでは38期、MHMでも38期なので、AMTが一番、定年が遅いのですね。2021年にMHMからAMTに移られたパートナーの先生は35期で、MHMではもうパートナー年次ではなかった、となります。こう考えていくと面白いですが、ファーストキャリアで定年を見比べるのは大事ですか?」

西田
「ごめんごめん、公開情報から区別しやすい違いを述べただけで、『就活生が、今から、パートナー定年を気にした方がいい』というわけじゃないよ。ただ、先日、日本経済新聞にインタビューが載っていた中村直人先生は、還暦を迎えて、たったひとりで独立されたけど、自分が弁護士としての円熟期を迎えた際に、大きな事務所で顧問的にゆったりと過ごしたいのか、それとも、まだまだ自分の手を動かして一弁護士として働きたいか、はキャリア観に関わる問題ではあるけどね。」

就活生
「事務所のイメージとしては、AMTは外資系クライアントが多くて、MHMは紛争系に強い、という印象があります。例えば、英語をみっちりとやりたければAMTに、訴訟弁護士として早く一人前になりたければMHM、とは言えるでしょうか?」

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