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備忘録/弁護士の就職と転職/NGワード

大手事務所等にいた弁護士が、中小又は新興の法律事務所に移籍した場合、環境変化に順応するのには時間を要します。

中小又は新興の法律事務所には、組織体制を一緒に作るプロセスに自らも参加できる、という魅力がありますが、そのことは、裏から表現すれば、「組織やシステムが整っていないので(大手事務所等に比べると)実務的な不便が多い」というのが実情です(弁護士業務では、パラリーガルや文献書籍が揃っていなかったり、経理面でも請求書の発行や経費の支払いのシステムが整っていないことがあります)。

その際に、不便を感じた転職者が、その不備を指摘すると共に、
「前の大手事務所ではこうだったのに」
という愚痴を述べてしまうことがあります。でも、これは(そういう不備なシステムの中でもなんとか仕事をやりくりして来た)既存メンバーにとっては、侮辱的な言動として受け止められます。

既存メンバーからすれば、その愚痴に対して、
「そんなに前の事務所がよかったならば、転職しなければよかったですね!」
と言い返してやりたい衝動に駆られます。そして、言い返しても、言い返さずに黙っていても、内心では「あぁ、この人は、形式的にはうちの事務所に移籍してきたけど、心は前の事務所にあり、うちのメンバーではないんだな。。。」という残念な気持ちを胸に刻むことになります。

仕事のやりがいは、「便利/不便」では測れません。そのことは理解していても、実際に、忙しい仕事の最中に、作業効率を鈍らされてしまうような事務所体制の不備に遭遇すると、つい、それを愚痴りたくなる気持ちはわかります。ただ、そこで、一時のイライラから「前の事務所のほうがよかった」と口走ってしまうことは、新事務所における信頼を根底から損なうリスクがあることだけは忘れないでいてもらいたいと願っています。

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弁護士(第一東京弁護士会)で、キャリアコンサルティング&ヘッドハンティングをしています。著書「新・弁護士の就職と転職」(商事法務、2020年)。商事法務ポータルに「弁護士の就職と転職Q&A」を連載中 https://www.shojihomu-portal.jp/gyoukai