ダイヤモンドオンラインに引用された「エンゲージメント調査」(2023年)の不適切さについてのお詫び
ダイヤモンド・オンラインで「4大法律事務所を丸裸に!弁護士に聞いた稼働時間・業務内容・報酬・昇進を初公開」という記事が掲載されました。
この記事の中に、「西田法務研究所が23年に行ったエンゲージメント調査だ」として、調査結果の図表が掲載されています。確かに、この記事に掲載されている数値は、私が、2023年6月下旬に、大手四大法律事務所のアソシエイト向けにアンケート調査を郵便にて送付して、同年7月末締めで回答結果を集計して、同年8月に、このnoteのメンバーシップにて、調査結果を掲載したものでした。
しかし、この調査結果に対しては、関係者より、どの程度の回答率だったのか、回答に偏りはないかどうか等の問合せを受けて、実際に回答してくれたアソシエイトからも、また、回答されなかったアソシエイトからも話を聞いてみた結果、その調査結果は、信頼に足るものではなく、逆に、ミスリードであるという結論に達したため、調査結果を掲載した記事も削除致しました。
(まず、回答数が少ないこと(回答率は5%程度で各事務所からはそれぞれ20人未満の回答しか得られませんでした)が大きな前提として存在した上で、事務所に対して批判的なアソシエイトの方が積極的に回答してくれた傾向が強く、事務所を好きで真面目に仕事に取り組んでいるアソシエイトはこのような調査に回答する必要性を感じていなかった傾向が見受けられました。)
「法律事務所で働くアソシエイトに対するエンゲージメント調査」というテーマ自体は、今後も重要になってくると考えています。しかし、2023年の調査は、事務所側の協力を得ることなく、人材紹介を業としている私から、アソシエイトに対して、一方的に送り付けて回答を促したものでした(それが「事務所に批判的なアソシエイトが回答に積極的で、現状に満足しているアソシエイトには回答の必要性を感じてもらえない」という回答傾向につながってしまいました)。適切なエンゲージメント調査結果を求めるためには、事務所の現状に満足しているアソシエイトからも調査に協力してもらえるような工夫を施さなければならないと考えております。
ダイヤモンドで今回の記事を担当された記者に対しても、今回、記事に引用された調査が、不適切な手法で行われたものであり、結果としても極めてミスリードなものであることはお伝えさせていただきました。
一キャリア・コンサルタントとしても、稚拙な調査方法による結果を一度は発表してしまったことを深く反省しております。どうか、今回の調査結果によるミスリードが、これから、就活に臨まれる未来の法律家の進路選択を誤らせることがないように祈っております。