2018年9月18日 日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(CGネット)ダイバーシティ部会 報告
2018年9月18日、CGネットのダイバーシティ部会にて「法務人材紹介の成功例と失敗例」と題する講演を行いました。報告レジュメは以下のとおりです。
「法務人材紹介の成功例と失敗例」
2018年9月18日
弁護士 西田章(akira@nishida.me)
(有料職業紹介事業 13-ユ-301907)
1. 報告書の自己紹介
2. 人材紹介業のビジネスモデル
3. 弁護士のキャリアモデル
4. 新卒人材市場
5. 転職希望者の事情
6. 中途採用ニーズ
7. 書類選考
8. 面接対策
9. 外部弁護士・社外役員のマッチング
以上
1 報告者の自己紹介
1. 1 進路選択①司法試験合格→大学院修士課程(研究者養成コース)
・ 大学教員の父のライフスタイルに憧れて、(実務家ではなく)大学教員を目指して、大学院修士(研究者要請コース)に進学する(司法試験で最も得意だった民事手続法(倒産法)を専攻する)。
1. 2 進路選択②大学修士課程→司法研修所
・ プライベートの挫折を踏まえて、外国法研究(民事手続法の母法であるドイツ法)にも身が入らずに(博士課程に進学できずに)経済的自立を優先して司法研修所に進む。
1. 3 進路選択③司法研修所→弁護士(渉外事務所)
・ 長島・大野法律事務所の内定を保険として取得した後に、裁判官からの誘いを受けて、真剣に裁判官になることを考えるが、内定を断るタイミングを逃してしまい。そのまま内定先の事務所に入所する。
1. 4 進路選択④法律事務所→出向(経産省)
・ 所属事務所から、留学に行く権利を貰うが、偶々、別のアソシエイトの下に届いていた経産省の任期付任用(倒産法改正作業)の募集案内を目にして、倒産法学者を志望した時期の夢を思い出して、出向に応募する(勤務開始後に「倒産法の所管は法務省」であることを知る)。
1. 5 進路選択⑤出向(経産省)→出向(日銀)
・ 経産省における肉食系の課長の下で、弁護士として誇れる成果のない2年間を過ごして(当時は、法務省における会社法立案担当と金融庁における金商法立案担当が人気)、「同期が留学から戻ってくるのに、自分は手土産がない」と悩んでいたところ、経産省で担当したプロジェクトの日銀側担当者に声をかけてもらって、日銀の任期付任用に応募する。
1. 6 進路選択⑥出向(日銀)→法律事務所の退職
・ 合計4年間の出向について、所属事務所のマネジメントから「ゼロ評価」を受ける。また、プライベートでは、次男がダウン症で生まれて心臓の手術もあり、ワークライフバランス確保を最優先として、事務所退職を決意する。
1. 7 進路選択⑦退職→人材紹介業
・ ワークライフバランスを求めて、社内弁護士になることを考えていくつかの会社から内定を得るが、いずれも決め手に欠けて、進路を決められずに、ヘッドハンター10人以上との対話を続けているうちに、「むしろ、人材紹介を仕事にできないか?」「弁護士が増えれば、ニーズも増えるのではないか?」「出向時代の人脈を生かせるのではないか?」と考えて人材紹介業への転身を決意する。
1. 8 現在の業務
・ 人材紹介業者としては、2007年に単行本を出版したことを契機に、認知度が広まり、HPを持たずに、口コミベースで候補者を集めている。
・ 弁護士業務としては、意見書作成的業務だけを受任している(非公開化取引の第三者委員会や、現物出資の弁護士評価書(最近では、1兆8000億円規模の資産評価も))。
・ 昨年から、1社で社外取締役(監査等委員)を引き受けている(補欠からの昇格)。
2 人材紹介業のビジネスモデル
2. 1 ビジネルモデル①サーチ型
・ 「エグゼクティブサーチ」は、採用企業が、着手金を支払った専属契約(いわゆる「リテイナ」)で、経営幹部候補を探すビジネスモデル(報酬は、採用された人材の初年度年俸の40%等)。欧米では、スペンサースチュアート、ラッセルレイノルズ、エゴンゼンダ、コーンフェリー等が著名だが、日本の法務人材市場に関する専門性は特にない。
2. 2 ビジネスモデル②人材バンク型
・ 人材バンクは、転職希望者からの登録を受け付けるビジネスモデル。採用側には、(リテイナをとらずに)成功報酬のみ(採用された人材の初年度年俸の30%等)を請求する。近時は、日系企業による第二新卒的な弁護士の採用が増えたために、日系の人材紹介会社が増えてきている。
2. 3 弁護士を対象とする人材紹介業の特殊性
・ 本来、サーチ型は「要求スペックを満たした候補者を探し出して連絡を取る」ことに主眼がある。しかし、弁護士候補者は、日弁連の登録上、どこにいるか明らかであり、法律事務所のHPには、所属弁護士の詳細な経歴が公開されている。また、日弁連が主催する無料求人広告(ひまわり求人)も広く認知されている。伝統的には、法律事務所間の弁護士の移籍は、伝統的に「知り合い弁護士の紹介」という非商業ベースで行われてきており、そのほうが(紹介業者の紹介よりも)信頼性が高い傾向がある。
2. 4 コールドコール(外国人からの電話や女性コンサルタントからのメール等)
・ 弁護士の人材紹介業務は、「どうやって一流事務所にいる年頃の候補者を面接に誘い出すせるか?」が鍵とされてきた。そのため、人材コンサル会社は、「外国人から英語で電話をかけることで、候補者に『俺も外国人から誘いが来るようになった!』と心理的に高揚させて誘い出す」とか、「女性スタッフに『うちの●●が先生にお目にかかりたいと申しております』と言わせたり、手紙での勧誘は高価な便箋を用いるなど、もったいぶることで高級感を演出する」という工夫を重ねてきた。
2. 5 クライアント層
・ 日本のリーガルマーケットでは、欧米系法律事務所が東京オフィスを開設する際に、人材紹介業者を利用したのがはじまりである(人材市場での初めての大規模の人材供給は、2004年12月の三井安田法律事務所の解散である)。また、不動産バブル期には、欧米系投資銀行も(自ら人材を教育して育てる意欲がないため)留学帰りの渉外弁護士の採用に紹介業者を活用した。ただし、リーマンショック以後は、欧米の法律事務所又は投資銀行による弁護士の採用熱は収まり、現在は、日系企業や外資系でも事業会社の採用ニーズの比率が増えている。なお、法律事務所においては、未だに、伝統がある優良先ほど、人材紹介業者の利用に消極的である。
2. 6 サーチ型の問題点(依頼先への誘導)
・ 転職希望者にとっては、サーチ型業者に会っても、依頼先に誘導されるだけであり、自己のキャリアプランに即したコンサルティングを期待することはできない(報告者は、2006年の転職活動時にコンサルタントに「ワークライフバランスを重視したい」と1時間かけて説明した挙句に「わかりました、あなたにぴったりなのは、西村です」とのアドバイスを受けた)。採用側にとってみれば、「競合他社の所属弁護士を自ら引き抜くのは行儀が悪いために、自己に代わり、狙った候補者に見込みがあるかどうかの探りを入れるために外部業者を使う」程度の役割しか期待していない。
2. 7 人材バンク型の問題点
・ 企業や法律事務所は、「複数の紹介業者に依頼したほうが幅広く候補者をサーチできる」と期待するが、紹介業者も複数の企業・法律事務所から同様のスペックのサーチを依頼されて、同じような候補者層にアプローチする。転職希望者も、似たような人材バンク複数に登録する。そのため、企業や法律事務所は、特定の転職希望者を複数の紹介業者を通じて奪い合うような状態が生じている。
2. 8 報告者のビジネスモデル
・ ビジネスベースに限らずに、優良な若手弁護士からのキャリア相談を受けて、カジュアル面談等を設定する。商業的な転職仲介が成立しなくとも、世話をした転職者が、広告塔になって、彼・彼女らの後輩弁護士(転職予備軍)を紹介してくれる(先輩からの一言人事評価付きで紹介を受けられるので、ミスマッチのリスクを軽減できる)。
3 弁護士のキャリアモデル
3. 1 伝統的な弁護士のキャリアモデル
・ 伝統的には、「弁護士は独立して初めて一人前」という価値観があり、「ボス弁の下で3〜5年間をイソ弁として勤務する」「個人事件だけで事務所固定費(家賃と事務員の人件費)を賄える目途が立ったら、独立する」というのが模範とされてきた。弁護士には、「転職」という進路は存在しなかった(報告者が、2007年に「弁護士の就職と転職」と題する単行本を出したときに、先輩から「弁護士に『転職』という言葉を用いるのはおかしい!」と怒られた)。
3. 2 ローファーム(収支共同型事務所)の誕生
・ 長島安治弁護士の「独立せざるの弁」にあるとおり、日本でも「ボス弁がノウハウを墓場に持っていってしまうのではなく、組織にノウハウを蓄積する」というローファームの概念が生まれた。キャリアモデルとしても、「一流事務所に就職して、その事務所のパートナーに昇進する」という姿が理想とされるようになった(また、パートナー審査に落ちた者が、ワンランク下又は外資系事務所に移籍する、という転職市場が生まれた)。
3. 3 法律事務所における「アソシエイトからパートナーへの壁」
・ 法律事務所のアソシエイトは、事務所案件の下請け要員である。リサーチ、分析、ドキュメンテーション等の事務処理能力が問われる。ところが、パートナーに昇格した後には「仕事を取って来る」「請求書を送る」という役割が期待されるようになる。そのため、「アソシエイト(下請け要員)としては優秀でも、パートナー(営業マン)に向いていない」というタイプの10年選手が現れている。
3. 4 いつまでも「アソシエイト」でいられるか
・ リーマンショック後の不況期には、「自分で売上げを立てられないシニア人材は不要」として、法律事務所は「アップ・オア・アウト」の人事方針だった。しかし、好景気で繁忙期が続く現状では、「プレイヤーとして優秀であれば、(営業力がなくて)名ばかりでも、パートナー又はカウンセルという肩書きを与えて、事務所案件の番頭役として優秀であれば活用余地がある」と見られている。ただし、今後、不景気に転じた場合には、「高給を受けながら、自らは売上げを立てられない高コスト層」のリストラが予想される。
3. 5 外資系法律事務所東京オフィス
・ リーマンショック前の不動産バブル期は、欧米系事務所も、東京オフィスを拡大しており、東京オフィスでのパートナーの内部昇進もあった。しかし、現状では、欧米系一流ファームは、日本のリーガルマーケットに成長を見込んでいない(国内大手四大事務所のアワリーレートが低いために、価格競争力もない。そのため、日系企業をクライアントとする、外貨建てのアウトバウンド案件(M&A又は危機管理等)に射程を絞りがちである)。
3. 6 会計事務所系弁護士法人
・ EY、PwC、DTと、大手アカウンティングファームが(経済的には税理士法人傘下に)弁護士法人を設立している。グループ内の税理士法人やコンサルと連携すれば、中小規模以下のM&A案件をワンストップで対応するニーズに合致するため、「プレイヤーとしては優秀だが自己のクライアントを持たないシニア・アソシエイト/ジュニア・パートナー層」には魅力的な職場である。ただ、まだ売上規模も小さく(潜在的な)利益相反や監査法人の独立性等の制約もあり、成長に限界があるのではないかとも指摘されている。
3. 7 インハウス(社内弁護士)
・ 外資系企業については、日本市場を重視していない場合には、日本地区のジェネラルカウンセルの権限も限られたものとなる。日系上場企業では、弁護士資格者も、通常の総合職の給与体系の中で採用する慣行を定着されつつあるため、法律事務所に好景気が続く限りにおいては、給与面で、優秀な人材を採用しづらい状況が続いている。
3. 8 弁護士による起業
・ 弁護士資格者自身が、自ら起業したり、(法務/コンプラ部門ではなく)事業部門長を担う事例も現れ始めている(例えば、弁護士ドットコムの創業者は54期弁護士であり、同社のクラウドサインの事業部長は64期弁護士である)。ただ、弁護士資格取得に要する年月を考慮すれば、起業意思が強い大学生にとっては、弁護士資格の取得は費用対効果に見合わない(弁護士の起業は、弁護士業務に近い、いわゆるリーガルテックの分野に限られている)。
4 新卒人材市場
4. 1 採用スケジュールの特殊性
・ ロースクール生は、3月末に卒業して、5月に司法試験を受けて、9月に合格発表があり、合格者は、12月頭頃から、1年間の司法修習を受けることになる。もし、大学院卒業翌月(4月)に就職するならば、司法試験の勉強と並行して就活をしなければならず、かつ、5月の司法試験は、就職直後の職場を休んで受験しなければならない。
4. 2 合格発表前における大手法律事務所の青田買い
・ 大手四大事務所は、司法試験翌月の6月1日を内定解禁とする協定を結んでおり、6月中に、それぞれ50名近い数の内定を出す。また、事実上の採用選考として、サマークラーク(ロースクール生を対象とする1週間の研修)とウインタークラーク(予備試験合格者を対象とする1日研修)を実施することにより、一次選考を済ませている。なお、弁護士会は、法律事務所に対して、修習生を青田買いしないように自粛を要請しているが、大手事務所の採用活動はこの自粛要請に実質的に違反している。
4. 3 大手法律事務所の採用の優位性
・ 採用には「いい候補者を逃すリスク」と「誤って問題児を採用してしまうリスク」があるが、大手事務所は、大量採用した後に、パートナー選考で、再度、ふるいにかけることができるため(=問題児は入所後に辞めてもらうことができる。労働法の適用もないと解されている)、「いい候補者を一定数確保するためには、多少の問題児が混ざっていても構わない」という発想で囲い込みができる。また、司法試験合格発表前の内定でも、成績優秀者を大量採用するために、「歩留まり」を予想することができる。受験生も「何をやりたいか決めていない段階では、とりあえず、幅広い業務を扱っている大手事務所に行けば安全」と理解しやすい(ただし、入所後に「事務所が幅広い業務を扱っていても、新人弁護士の守備範囲は狭い」ことに気付いて転職を希望する者も少なくない)。
4. 4 予備試験組を対象とした青田買い
・ 大手事務所に成績優秀層を囲われる(内定解禁日6月1日)よりも前に、内定者を確保するために、一部の法律事務所では「司法試験を受験する前に内々定を出す」という工夫も始められている(予備試験の成績優秀者であれば、司法試験に合格する蓋然性も高い)。ただし、成績優秀者からは「大手を回ってから決めたい」と言われることも多い。
4. 5 中小事務所における新卒採用のリスク
・ 「新人を1名だけ採用する」という事務所において、司法試験合格発表前に、優秀な内定者を確保することは困難である。不運にも内定者が司法試験に落ちてしまうリスクもあれば、司法修習を始めた後に、裁判所又は検察庁から勧誘されて、内定を辞退されてしまうリスクもある(優秀な人材ほど、裁判所・検察庁から勧誘されやすい。大手のように数十名規模の内定者がいれば、「内定者間の連帯感による結束」も生まれるが、たったひとりで実務修習を受けていると、身近にいる指導担当の裁判官・検察官に心を動かされやすい(=遠距離恋愛は続かない?))。
4. 6 企業による新卒採用のリスク
・ ロースクール生の主流は「法律事務所で働きたい」という希望を抱いて進学しているが、最近、(モラトリアム進学者も含めて)企業法務の人気が高まっているため、企業への就活をするロー生も増えている。しかし、それが第一志望ではなく、「とりあえず、企業の内定を貰っても、それを保険として法律事務所への就活をしたい」という者もいる(企業に就職した後でも、「一度は法律事務所で働いてみたい」「先輩弁護士の指導を受けたい」という思いを捨てられず、法律事務所への転職活動を始める者もいる)。
4. 7 法律事務所の採用選考の特殊性
・ 予備試験・司法試験は、「何位で合格したか」の順位が本人に伝達される。そのため、法律事務所のエントリーシートでは、合格順位を記入することが通例である。そして、一発合格の上位順位の合格者は、どこの法律事務所でも書類選考を通過する一方で、不合格の経験がある者、合格順位が低い者は、どこの法律事務所でも書類選考を落とされてしまう、という問題がある(法律事務所では、弁護士が「業務の片手間」に採用面接を行うために、面接をできる候補者の数が限られてしまう、という実務的な事情もある)。
4. 8 英語力
・ 法律事務所では、予備試験・司法試験の合格順位を第一義的な指標として書類選考をするために、英語力は二の次である(伝統的に「英語だけが取り柄」の候補者を敬遠する傾向がある)。他方、企業では、「司法試験は合格していれば十分」(場合によっては落ちていても構わない)という先が多いため、合格順位よりも、英語力を評価することが多い(司法試験の合格順位が低いが、TOEIC/TOEFLの点数が高い、という受験生は、企業の採用選考のほうが高く評価される)。
5 転職希望者の事情
5. 1 大手法律事務所の留学前アソシエイト(ジュニアと3〜5年目の違い)
・ 大手事務所では、1年目〜2年目アソシエイトに転職相談が多い。その理由は、①ハードワークについていけない、②希望していない業務グループに配属されたが典型例である。他方、3年目になれば、仕事にも慣れてきて、「あと1〜2年我慢して、留学に行きたい」「留学に行ってから転職を考える」という思考になりがちである。
5. 2 大手法律事務所の留学帰りアソシエイト
・ 大手事務所では、留学から戻った数年間での活躍によってパートナーになれるかどうかが決定する(ため、留学前以上のハードワークが求められる)。留学先で、所属事務所と物理的に離れて、所外の同級生と交流することで視野を広げて、転職活動をしてみる者が多い。ただ、最近は(大手事務所のパートナー審査が緩くなっている傾向もあり)「他に理想的な職場があるわけでもないので、一旦は事務所に戻ってみよう」として、転職活動の結果、所属事務所に復帰する事例が多い。
5. 3 大手法律事務所のパートナー
・ 大手事務所では、パートナーになってからでも、転身を考える者もいる。営業が得意な弁護士であれば、「主要な企業がすべて先輩パートナーに抑えられており、新規に開拓する余地がない」といって、自由に営業できる先を求めることがある。また、パートナー降格制度(一定額の売上げに達しないと降格させられる制度)があると、営業が苦手なパートナーは、より低い売上げでも許容される事務所又はインハウスへの転職を考える。
5. 4 外資系法律事務所のアソシエイトとパートナー
・ 欧米系事務所は、「仕事が増えれば人を増やし、仕事が減れば、人も減らす」という発想がある。また、アソシエイトの留学制度も廃止又は縮小傾向にあるため、仕事ができるアソシエイトでも転職を考えることがある。また、東京オフィスの売上げ次第では、パートナーもリストラ対象になる。
5. 5 中小法律事務所(企業法務系)のアソシエイト
・ 中小法律事務所(企業法務系)のアソシエイトからは、①ボス弁がパワハラである、とか、②ボス弁は営業が得意でも、弁護士として尊敬できないので、ここでは学ぶべきことがない、という理由からの転職相談が多い。
5. 6 中小法律事務所(一般民事)のアソシエイト
・ 一般民事(個人依頼者を扱う業務分野)の事務所からも「一般民事を続けていても、大変なだけで将来に不安がある」「企業法務に転向したい」「社内弁護士でも構わない」という相談がある。法律事務所(企業法務系)でも、まだ1年目、2年目であれば、「第二新卒採用」として、司法試験の合格順位が優れていれば、検討対象になるが、年次が高いほど、書類落ちする可能性が高くなる。企業でも、「一般民事の経験」自体は評価の対象になりにくいために、他に、より企業法務寄りの経験がある候補者と競合してしまうと、選考に残るのは難しい。
5. 7 インハウス(社内弁護士)
・ 「いきなりインハウス(司法修習を出て直接に企業への就職組)」からは、「一度は法律事務所で働いてみたい」「弁護士の先輩から指導を受けたい」という転職相談が多い。また、法律事務所から企業への転職組からも「上司と合わない」「給与が上がらない」という不満からの転職相談も多い(「インハウス=ワークライフバランスが保たれたローリスクの職場」という憧れを抱く若手弁護士も多いが、上司に人事評価の権限があるために、上司と合わなければ、社内で明るい未来を見出せない)。
5. 8 裁判官・検察官
・ 裁判官・検察官からは、「これ以上の転勤は家族に負担がかかる」との理由での「弁護士に転身したい」という相談がある(また、検察に不祥事があった時期には、それを契機とする退職者も出てくる)。しかし、裁判官経験を高く評価してくれる法律事務所が多いわけではない。近時、危機管理業務(不祥事調査等)の流行から、ヤメ検の採用ニーズも広がっているが、法律事務所では「ヤメ検間の競争」も激しくなってきている。裁判官・検察官でも、留学経験者で英語ができると活動分野が広がる(検察では、現場組と法務省組(留学組)が分離する傾向もあり、両方を経験していると価値が高い)。
6 中途採用ニーズ
6. 1 個人事務所の中途採用ニーズ
・ 個人事務所では、基本的に「イソ弁が辞めたら、それを補充する採用ニーズが生じる」という事情がある。新卒を採用しようとしても、司法修習の修了を待たなければならないため、数ヶ月内の採用を考えるならば、中途採用を募集することになる。ただ、優秀な人材(他の事務所からも誘われるような人材)に来てもらうためには、勧誘を工夫しなければならない(応募する側も「ひとり事務所はリスクが高い」とみなしがちである)。
6. 2 中規模法律事務所の第二新卒採用ニーズ
・ 中規模事務所では、「期のバランス」を維持するために、「毎年、優秀な新人を定期的に採用したい」という希望がある。ただ、数名の内定者を得ていても、司法修習に裁判所又は検察庁に内定者を奪われて欠員が出ることもあり、その欠員を補充するために「第二新卒」を採用するニーズがある。家族的雰囲気を大事にするところほど、年次が高い中途採用を受け入れることに躊躇がある(すでに他事務所のスタイルが身に付いてしまっており、それを矯正することが難しいと考えている)。
6. 3 大手法律事務所の採用ニーズ
・ 大手事務所でも、部門制を採用しているところでは、「事務所としては新人を採用しているが、当部門としてアソシエイトが足りない」ということがある。また、新卒採用時に英語力を問わないこともあり、「英語力があるアソシエイト」は高い評価を受けやすい。とはいえ、「生え抜きのアソシエイトと見比べても、学歴や司法試験の順位において見劣りしないこと」を求めることが多い(司法修習の成績の提出を求める先もある)。
6. 4 パートナークラスの転職市場
・ 法律事務所にとって、シニア・パートナーの採用は、事業部門の買収(M&A)に近い(売上げや顧客基盤を確認して、コンフリクトがないか、シナジーがあるかが審査ポイントとなる)。先住民たるパートナーは「自己と同一分野を専門とするパートナーの参画」を警戒する傾向が強いために、「これまでまったく扱っていなかった分野の専門家」は受け入れられやすい。反対パートナーがいても、代表弁護士がワンマンで鶴の一声で決まることもある。現実には、事務所の移籍には、クライアント承継等に面倒も伴うために、「何らかの事情」が背後に隠れている場合が多い。ジュニア・パートナーで顧客基盤がない場合には、「一旦はカウンセルで受け入れて、1年程度様子を見てから、パートナーに内部昇進させる」という方法もある。
6. 5 日系上場企業による採用ニーズ
・ 商社のように巨大法務部を抱える企業では、内部で教育システムを持っているため、ジュニア・アソシエイトをポテンシャル採用することもある。応募者としても「会社留学」の機会を狙うこともある(法律事務所からの留学よりも会社留学のほうが留学時の生活水準が高い)。しかし、社内競争も激しいために、40才代からは子会社に出向させられたりすることもある(転職を検討することもある)。小規模な法務部を抱える企業では、社内に教育システムがないために、一定年次の経験を経た人材を求める傾向がある(ただし、優秀な人材を確保するだけの経済条件を提示することが難しい)。
6. 6 ベンチャー企業による採用ニーズ
・ ベンチャー企業には、法務部門も未整備で、ひとり法務でなんでも担当することが求められがちである。一定年数の経験値が求められるが、経営者が若く、スピード感が早い先では、リスク回避志向の経験弁護士は向かず、経験不足の若手が採用されることもある。うまくいけば、会社の成長と共に業務も広がり、ストックオプションや株式報酬でアップサイドを狙うこともできる。ただし、上場まで至る事例は限られている。
6. 7 外資系企業による採用ニーズ
・ 30才代で英語ができる人材にとってみれば、外資系企業の法務部門は経済的には魅力的である。他方、法務部長になっても、アジア太平洋地区のGCの部下にすぎず、「経営陣への信頼を得てビジネスの片腕になる」という理想像とかけはなれるケースもある。年次が上がるほどに日本企業への転身を考えても、日本の上場会社規制に疎かったり、海外案件の経験に乏しいことが壁になることもある(外資系企業の日本法人の主たる業務は、英語で国内法務を扱うことである)。
6. 8 出向/有期雇用スキーム
・ ジョブローテーションがある上場企業では、「30才代の弁護士にプレイヤーとして働いてもらいたいが、40才代以降に総合職として課長職を提供しづらい」という場合もあり、出向又は有期雇用で弁護士を求めるニーズもある。「インハウスになってジョブ・セキュリティを得たい」という候補者には向かないが、出向/有期雇用の「お試し」期間を経た上で、相性が合えば、転籍したい、という希望も聞かれる。
7 書類選考
7. 1 書類選考における足切り基準
・ 収支共同型事務所で、パートナーが合議で採用を決める場合には、「成績(学歴・司法試験の順位)」が悪い候補者を採用しづらい。また、「合格者数500人時代」のボス弁には、「500番以内の合格者だけが自己と同等」とみなすこともある。弁護士経験が長くなれば、経験値や顧客層・売上高が考慮されることになるが、「年次が高い候補者ほど、もはや可塑性がなく、当事務所の文化に合わないリスクが高い」と慎重に見られがちである。
7. 2 一本釣りを許容するか、候補者リストを必須とするか
・ 法律事務所においては、中途採用では、複数候補者を比較検討しなくとも、優秀な候補者がいれば、内定を出せることが多い。他方、外資系企業等においては、「複数の資質を備えた候補者を並べたリストを提出しろ」と要求してくる先もある。しかし、現実には、スペックの高い候補者を多数揃えられるのは、GoogleやAppleのような超一流企業に限られている(スペックの高い候補者ほど、軽く扱われることに抵抗を示しがちである)。
7. 3 履歴書提出前の面談を許容するか
・ 採用担当からは、「まずレジュメを拝見したい」と要求されることが多い。ただ、履歴書を既に準備している候補者の転職意欲は、「貴社/貴事務所」に向けられているだけでなく、他の会社・事務所にも向けられている(履歴書が準備できていたら、簡単に他社にも応募できて、他社との奪い合いになる)。スペックが高い候補者については、レジュメ作成前からカジュアル面談に応じて、「先手」を取ることが候補者の「当社/当事務所への転職意欲」を引き出すことにつながることもある(現職場との比較だけで転職を決意してくれることもある)。
7. 4 社会人経験を評価するか
・ 法律事務所においては、既存アソシエイトが「後輩アソシエイトに年上が来ても使いにくい」と考えることが多い。また、社会人経験を生かして営業力が優れた候補者がいたとしても、その弁護士はいずれ独立してしまうリスクも高いため、「営業力を当事務所で発揮してくれる」という可能性は低いと思われてしまいがちである。他方、企業においては「弁護士資格前のサラリーマン経験」は好印象を与えることが多い(法律事務所だけの経験では、サラリーマンとしての適性はチェックされていない)。
7. 5 女性候補者に不利益はないか
・ 中小事務所では、女性アソシエイトが産休・育休で戦線離脱するリスクを重く認識しがちである(女性アソシエイトに頼りすぎていたが故に、育休・産休で苦労した経験がある事務所では、それを繰り返さないために男性候補者を好む傾向がある)。女性弁護士が多い事務所ほど、募集をすれば、後輩の女性弁護士が集まりがちだが、事務所的には「バランス」を求めて「女性枠が満席」ということもある。そのため、「女性候補者のほうが、優秀でも売れ残っている可能性が高い」と考える事務所もある。
7. 6 当社を志望する理由を重視するか
・ 「優秀」かつ「当社への志望度が高い」という両方の要件を満たした候補者がベストであるが、どちらかしか選べない場合には、「優秀さ」を選ぶほうが無難である(愛社精神やモチベーションは後から湧くこともあるが、優秀さは後から伸ばしづらい)。優秀なアソシエイトは、どこの事務所でも活躍できる。自己PRが下手な候補者層に、掘り出し物がいることもある(プレゼン能力が高い候補者は、他社からも容易に内定を得てしまう)。
7. 7 転職理由や転職回数を重視するか
・ 書類選考落ちの理由に「短期での転職が多すぎる」とか「当事務所に応募する理由が理解できない」と挙げられることも多いが、実際には、「スペックが低い」とみなされている場合が多い(スペックの低さを理由にしづらいので、転職理由・回数が口実にされていることが多い)。応募者の側で「今度の転職を最後にしたい」という覚悟を伝えるために、試用期間を設定してもらったり、初年度の給与を下げる申し出をする例もある。
7. 8 現職の給与が高すぎる候補者に勧誘可能性はあるか
・ 大手法律事務所等では、初年度年俸で1000万円を超える(2年目で固定給1200万円+ボーナス500万円という先もある)。生涯賃金を比較すれば、いつまでもアソシエイトでいられるわけでもなく、「時間単価で比較すれば、逆転する」という分析もある(が、「経験値を積んでバリューアップしたにも関わらず、初任給よりも下がる」というのは、本人にとってショックではある(特に将来のアップサイドを狙えない職場への転職については))。
8 面接対策
8. 1 日程調整(どちらが候補日を挙げるか)
・ 学生や受験生を対象とする新卒採用が画一的なスケジュールで進められるのとは異なり、中途採用は、候補者が現職の合間に転職活動をすることが通例であるため、面接日程を合わせることも一苦労である。1往復のやりとりで日程を確定するためには、応募者に複数の日程候補を提示させる必要があるが、複数回のやりとりをいとわなければ、採用側から複数の候補を提示するほうがスムースに面接を設定しやすい(特に転職予備軍に対しては)。
8. 2 夜間の面接を受け入れるか
・ 面接担当者としては、できれば、業務時間内に面接を設定できるほうがありがたい。他方、現職を抱えている応募者にとっては、業務時間中の私用外出には抵抗もある(通常、職場に黙って転職活動をしているため)。杓子定規な対応ではなく、期待値が高い候補者に対しては、夜間や週末でも面接に対応することにより、候補者を専属的に勧誘できることもある(時間がある候補者ほど競合他社も回るリスクが高い)。
8. 3 紹介業者の同席を認めるか
・ 面接担当の中には、紹介業者が同席することに話しにくさを感じる者もいる。また、紹介業者としても、同席するためには自己のスケジュール調整の手間も要する。ただし、転職自体に迷っている候補者については、紹介業者が面接に同席して見聞した雰囲気を前提として勧誘したほうが効果的なこともある。
8. 4 一次面接のフィードバックをするか
・ 面接の後には、採用側も、候補者側も「相手はどういう印象を抱いただろうか?」を探るために、「待ち」の姿勢になりがちである(相手方が好感を抱いてくれているならば、話を進めたい、ということが多い)。そのため、紹介業者が(採用側又は候補者側の非公式見解として)相手方に一次面接の好印象を(多少大袈裟に)伝えるほうが、相手方からの好リアクションも引き出すことができ、二次面接の実現につながりやすい。
8. 5 どのタイミングで内々定を出すか
・ 現職で忙しくしている候補者ほど、「最初にオファーを出してくれた法律事務所/企業」を優先して検討する傾向はある。他方、狡猾な候補者は、一社のオファーを得たことを材料として、他社への応募に活用する事例もある(例えば、大手事務所からオファーが出た候補者を、敢えて、競合する大手事務所に紹介したエージェントの事例)。
8. 6 オファーレターを発行するか(回答期限を設定するか)
・ 法律事務所には、書面を用いずに、口頭のオファーで済ませる先も多い(飲食の席で「うちに来てくれるか?」と尋ねて握手を求める事例もある)。ただ、悩んでいる候補者に対しては、書面があることで意思決定の背中を押してくれることもある。他方、回答期限を設定してしまうと、「とりあえず、軽率にオファーを受諾したかのように振る舞いながら、転職活動を続ける」という事例も現れてしまう。
8. 7 バックグラウンドチェックをするか
・ 外資系企業には、正式なオファー前にバックグラウンドチェックを行う先もある(日系企業でも導入事例がある)。ただ、前職での問題行為があった者は、自分に都合のよいコメントをしてくれる先輩・同僚を見付ける工夫を施すため、実効性が高いとは言えない。本来的には、紹介業者から、前職での評判を聴取できることが理想である(紹介業者が、人脈豊富で、成功報酬狙いでないことを期待できるならば)。
8. 8 副業/個人事件を認めるか
・ 「副業/個人事件を認めると、本業(事務所事件)をサボって小遣い稼ぎをするのではないか」という不安はある。他方、「副業/個人事件ができない」という扱いを「過度な制約/不自由」と受け止める弁護士もいる(自分を頼って来た相談者を追い返すことに抵抗がある)。また、現職よりも給与を落とした転職を求める場合には、「(すぐに事件を受けるわけではなくとも)給与以外のアップサイドの可能性もある」というのは勧誘材料のひとつとなる。
9 外部弁護士・社外役員のマッチング
9. 1 外部弁護士選定の失敗事例(著名弁護士が最適ではない事例)
・ 弁護士はポジティブな情報を自ら公開するが、ネガティブ情報は口コミでしか伝わらない(不満を抱いたクライアントも、当該弁護士を二度と利用しないだけである)。相手方とのハードな交渉に長けた弁護士は、対クライアント交渉でもその手を緩めないことがある(タイムチャージの約束だったにも関わらず、勝訴後に成功報酬を請求してきた事案や、「自分を顧問にしなければ、貴社の従業員を代理して貴社に訴訟を提起する」という脅迫めいた要求をしてきた事案もある)。
9. 2 外部事務所のビューティーコンテスト
・ 複数の法律事務所からプレゼンをさせて見積りを出させても、そのメリット・デメリットを判断するのは容易ではない(予算が下がれば、提供されるサービスの量(稼働時間等)にも制約が伴う。また、当初見積りを超えて作業が必要になった場合の費用負担の問題もある)。実務的には、本命の事務所を念頭に置いた上で、他事務所の相見積りを利用することで値引き(作業スコープの限定)を求める程度に留めることが多い。
9. 3 社外役員候補者に法律専門家を迎え入れるメリット
・ 社外役員には、本業へのモニタリングを重視すれば、「経営者経験」や「財務の専門家」を入れることが望まれる。他方、「利益相反の回避」や「不祥事対応」も役割として想定すれば(持株会社の場合等)、法律専門家に活躍の余地もある。
9. 4 社外役員候補者としての女性弁護士へのニーズの高さ
・ 取締役会メンバーに女性を入れようとしても、事業部門から生え抜きの女性を登用することが難しいことが多く、間接部門からも、社内取締役の人数が制限されている現状では、社内取締役に女性を登用するには至らない場合が多い。そのため、社外役員に女性候補者を求めがちである。女性会計士と共に、女性弁護士を候補者に選ぶニーズは高いが、年齢的に座りがよく、ビジネスに精通した弁護士候補者の数は限られている。
9. 5 社外役員にはどのような経歴・経験が望ましいか
・ 取締役会メンバーに、ひとりだけ法律専門家を迎え入れるならば、特定法分野に関する深い専門性よりも、幅広い経験があることが求められがちである(特定法分野については、個別に外部弁護士の意見を取得すれば足りる)。会社法やガバナンスに知見があるほうが、他のボードメンバーからも信頼されやすい(他の役員も善管注意義務違反がないことの安心感を得やすい)。
9. 6 社外役員に一本釣りが許容されるか。複数候補者の比較検討は必須か
・ 一本釣りには、その人選の合理性を説明しづらい難点がある。他方、地位も立場もある候補者に声をかけておきながら、比較検討の上で落選しました、と伝えることも実務的に難しい。そのため、本人の了解を得ることなく、外形的に複数の候補者を検討した上で、優先順位の高い候補者から順番に声をかけていく、という方法が現実的である場合が多い。
9. 7 どのようにして社外役員候補者の意思を確認するか
・ 社外役員は、名誉あるポストだが、責任が重いだけでなく、本業を続けている候補者にとっては、就任に伴うデメリットもある(例えば、独立性が求められるために、弁護士業に制約を課せられることもある(特に大規模事務所の場合には、所属する同僚弁護士の仕事にも制約を与えてしまう))。社内的に正式な候補者に選抜した後で、本人から拒絶されてしまうのもスケジュールを遅らせる要因にもなるため、非公式に、打診された場合の受諾可能性を問い合わせておけるほうが望ましい(守秘性が求められるコミュニケーションであるが、公式な連絡ではないために、外部業者に連絡窓口を依頼するニーズもある)。
9. 8 どのようにして社外役員候補者と執行部・他の社外役員との相性を確認するか
・ 社外役員が活躍できるかどうかは(経験・能力の問題だけでなく)執行部や他の社外役員との相性も大きい。外部弁護士と異なり、一旦、就任してしまうと、ミスマッチが判明した場合でも、執行部の判断では交代させることができない。そのため、研修講師や懇親会名目で、一度は、事実上の顔合わせを済ませておくことが安心感につながるという見方もある(実際に仕事をしてみなければ、相性は分からないことが多いが、事務方としては「既存の取締役メンバーに会ってもらった上で決めた」という言い訳ができる)。
以上
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