ジェネラリスト

備忘録/弁護士の就職と転職/「ジェネラリスト」と「スペシャリスト」

普段、大手法律事務所のジュニア・アソシエイトから「部門制度の下で、早期に専門化を求められることに不安がある」「もっと幅広くコーポレート案件や紛争案件を扱って弁護士としての足腰を鍛えたい」という相談を受けていると、逆に、中小の事務所のアソシエイトから「雑多な案件ばかり対応していると、このままでは何の専門性も身に付かないで将来が不安である」という相談を受けるのが新鮮になります。

20年前、ぼくらが1年生だった頃は、大手事務所でも「まずは、ジェネラリストになれ」「一通りのことをできるようになって一階部分を築いてから、プラスαの二階建ての増築部分として自分の専門分野を探せばよい」と聞かされてきたけど、なかなか今では難しいのかなぁ。対外的には、クライアントからの「アソシエイトのタイムチャージの作業内容」に対するチェックも厳しくなっているし(危機管理以外は)、所内的には、パートナーの数が増えてくると、「専門分野の空きスペース」を見出してそのポストの志願者として早期に名乗りを上げて陣地を確保する政治的な動きをする必要性をアソシエイト本人も感じているだろうし。。。

過去を振り返れば、「専門分野」は、(必ずしも自らプランニングしてそれを実行に移した、というよりも)偶々、その時々に受任した事件に専念していった先に、結果として成立していたもののように思うけど、大手事務所においては「事務所に来た案件のうち、自分のやりたい分野の案件に関与させてもらう/チームに入れてもらう」ためには、「自分はこの分野の専門家を目指しています」というレッテルを自分に貼ってアピールすることが必要だというのはわかるけど(年次が上がってから、自分の守備範囲を広げるのにも苦労が伴うから、それもリスクだよなぁ。特に事務所を変えるシナリオも想定したら)。


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