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危機管理業務をやりたいならば、大手法律事務所か?検察庁か?ブティック事務所か?

危機管理業務は、これに従事するジュニア・アソシエイトによって、仕事の満足度が大きく異なる分野である。

一方では、
― 世間を賑わす大事件を担当して、関係者をヒアリングして事実を探って行くのが面白い、
という若手がいるかと思えば、他方では、
― 先輩弁護士からフィードバックを得る機会に乏しく、法的思考も磨かれにくいので、成長できない、
と感じる若手もいる。

私自身は、以前は、就活生からのキャリア相談に際して、
「不祥事対応をしたいならば、まず、検察官になったほうがいいんじゃない?」
というアドバイスをしていたことがあり、商事法務ポータルの連載でも、こんな記事を書いていた。

私の最大の懸念は、
― アソシエイトのうちに楽しかったとしても、どうやって自分で案件を取れるようになるの?
という点にあった(もちろん、「自分で案件を取る難しさ」は、危機管理分野に限った話ではないのだが、危機管理には「クライアントがリピートして依頼してくれるわけではない」という特徴がある。そのため、「アソシエイトがチームのメンバーとしてクライアントを担当していたら、それをクライアント側担当者が評価してくれて、いずれは自分にご指名が来る」という展開を期待しづらい)。

そこで、「危機管理業務ばっかりやっていても、人材市場での評価は高まらないよ」という記事を書いたりもした。

そんな風に悪口ばっかり書いていたら、パワハラやセクハラの調査案件を数多く扱う事務所から「そんなことはない!」と叱られてしまったので、「『不祥事調査✖️●●』のように、別類型の専門を持てば、掛け算で仕事を獲得できるようになるかも」「特に労働法はオススメ」という趣旨の釈明記事を書かされたこともある。

でも、まあ、これだけ危機管理業務の裾野が広がって来たら、「やりたいという気持ちがあるならば、悔いが残らないようにやってみればいい」というのが正解なのだろうなぁ。そして、
「危機管理は自分には合わないかも」「将来、これで食って行くのは厳しいかも」
と感じたら、(その職場に長居は無用で)早めに(若くてリスタートをしやすいうちに)移籍を考える、というのが賢い選択かもしれない。

私としては、依然として、
― 本気で危機管理をやりたいならば、検察に行けばいいのに、
という気はするが、「危機管理をやりたい」という気持ちと同時に、
― 大手法律事務所で綺麗なオフィスで高給をもらった生活もしてみたい、
とか、
― ブティック事務所にいる親分肌の代表弁護士の下で修行してみたい、
という気持ちが湧くこともあるのだろう。

そういう意味では、
― どの選択肢が合理的か?
という打算をしてみても無駄で、
― その場の直感
に従うしかないのだろうな(実際のところ、「危機管理」と言っても、その内容は様々だし、偶々、どんな事件を担当するかによって、仕事の満足度も、将来のキャリア志向も変わってくるのだろう)。

どこで危機管理を担当するとしても、共通して言えることは、
― 危機管理を専門にする場合でも、きちんと英語力は磨いておいたほうがいいと思うよ(検察庁に行くならば、留学を狙ったほうがいい。留学経験がある方が、弁護士になった後の選択肢の幅も広がるよ)
という点ぐらいかなぁ(超平凡な助言になってしまうけど)


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