面接対策

備忘録/弁護士の就職と転職/面接対策

弁護士は、仕事上、自らが依頼者や関係者にインタビューする機会には数多く恵まれますが、自分のことについて質問を受ける側に回る機会は滅多にありません。

学部時代に就活をせずに司法試験受験を決めたら、就活も経験せずに社会人になります。
成績優秀で大手の法律事務所からすぐに内定が出たような方であれば、転職活動で初めて「面接で自分を売り込む」という課題に直面します。

そのため、時間があれば、面接前の候補者と「作戦会議」と称して面接のシミュレーションをするようにしています。

ここで準備することは、
(A) 面接官からの想定質問に対する候補者の回答案
(B) 面接官からの「何か質問は?」に対する候補者からの質問案
に分かれます。

このうち、(A)面接官からの想定質問は、
(A-1) 過去〜現在にわたる自分の経歴
(A-2) 将来のキャリアプラン
(A-3) 今回、当事務所に応募した理由
の3分類で整理します。

(A-1)は、「いつ司法試験を目指したのか?なぜ弁護士になりたいと思ったのか?」まで遡ることもあります。面接は、口述試験ではないので、何が正解で何がNG、というわけではありません。ただ、限られた時間で行われるので、考え込まれてしまうと時間を浪費して流れを悪くしてしまうために、もし、聞かれたら、簡潔に答えられるショートバージョンの回答案を用意しておくと便利です。

また、(A-2)の将来のキャリアプランは、(A-3)の志望動機と関連するテーマです。応募先事務所での業務内容が、中長期的なキャリアプランを実現にする手段として繋がっていることが望まれます。

「キャリアプラン」といっても、自分の思いだけで実現できるわけではなく、実際に仕事がどうなるかは、業界動向や依頼者のニーズに関わります。そのため、プランと言っても、数年先までしか考えていなかったり、大きな方向性しか決まっていなかったり、複数のプランを併行して持っていることもあります。なので、回答案としても、別に、「カチッとした詳細な長期計画」である必要はなく、自分として、どういう時間軸で考えているか、どういう不確実性があると認識しているか、どういうことで悩んでいるか、という点だけ整理しておければ足りると考えます(そうすれば、「筋のよい悩み方をしている」「良い問題意識を持っている」と評価してもらうことができます)。

面接官からの「何か質問はありませんか?」という逆質問(B)は、
― あなたは、うちの事務所のどこに着目しているのですか?
という質問でもあります。限られた面接時間において、もし、「毎日アソシエイトは何時に帰宅していますか?」「弁護士会費は給料とは別に出ますか?」「個人事件は何割を事務所に入れなければなりませんか?」と尋ねたとしたら、面接官としては、「あぁ、彼/彼女は、この貴重な機会に聞きたい項目のベスト3が、この3つなんだな」と理解されてしまいます。

そのため、「作戦会議」では、逆質問を、
― アソシエイト視点、労働者視点
で思い付くものではなく、
― パートナー視点、経営者視点
から出てくる論点を取り上げることを勧めています。イメージ的には、「勤務したら、1週間や1ヶ月ですぐにわかること」は、アソシエイト視点の質問です(「先生はなぜこの事務所を選んだのですか?」というのも、アソシエイトが質問したがる典型例のひとつですが、面接官からすれば「それを聞いてどうするの?」という印象を与えることの方が多そうです)。

そうではなく、「1年、2年、さらにいえば、5年、10年にしてから気になるようなこと」がパートナー視点の質問です。例えば、「事務所はどの程度の規模まで拡大するつもりか?」とか「海外案件はどこに力を入れていくか?」とか「リーガルテックや自動翻訳は活用する予定はあるか?」とかは、パートナー自身が実際に現在進行形で検討しているところかもしれないので、「実は、いま、ちょうど、その問題を議論しているところなんだけど」として、面接官も熱の込もったコメントをもらえることもあります。

こうして書いていても、過去のいろんな実例が想起されてくるので、面接対策については、もう少し時間をかけて整理してみたいと思いました。


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弁護士(第一東京弁護士会)で、キャリアコンサルティング&ヘッドハンティングをしています。著書「新・弁護士の就職と転職」(商事法務、2020年)。商事法務ポータルに「弁護士の就職と転職Q&A」を連載中 https://www.shojihomu-portal.jp/gyoukai