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シニア弁護士との対話:「法律文書の英訳術」

シニア弁護士
商事法務ポータルの柏木先生のインタビューを読んだよ。面白いね。」

西田
「ありがとうございます。インタビューをして気付いたのは、柏木先生が三菱商事から東大に移られたのは、50歳位の頃なんですよね。自分がもうその年代を通過しているところだと思うと、すごく焦らされます。」

シニア弁護士
『アメリカの弁護士』(有斐閣、1988年)も面白かった。」

西田
「今回のインタビューの準備で改めて読んでみたのですが、1988年当時から『ロイヤー=弁護士』ではなく、その役割が違うと述べられていたんですね。」

シニア弁護士
「国際取引の実務に精通している先生、というイメージだったね。」

西田
「はい、当時の法研の学生からすれば、『実務を知っている』というのは憧れでした。」

シニア弁護士
「『天下の三菱商事では、そうなんだ』と思った。同時に、商法研究会で扱う裁判例は、中小企業が当事者になることが多いから、その点にギャップがあった気もしたな。」

西田
「『理論』と『実務』に分けられるというよりも、『実務』のプレイヤーとして、財閥系商社に代表されるような『契約書の規定通りに経済合理性に従って行動する当事者』と、『契約書に重きを置かず、紛争が起きてから、事後的に、裁判所に契約の合理的意思解釈をしてもらうことを期待する当事者』の2通りがあると思いました(笑)」

シニア弁護士
「リーガルアドバイザーとしても大手事務所が総合商社のような優良企業を代理することで、法務の世界では、前者(契約書通りの実務)の領域が広がっているんだろうね。」

西田
「そういえば、中小企業やスタートアップを代理する企業法務弁護士が『大手事務所のコーポレートロイヤーは、大企業を代理しているから、法律や契約書通りの模範的なアドバイスができる。こちらは、大企業との契約では、ビジネス上の交渉力がないから、言いたいことも言えないんだ』と愚痴っていたのを思い出しました(笑)」

シニア弁護士
「ところで、柏木先生といえば、大型バイクに乗っているイメージがあるね。さすがにもう乗ってはおられないだろうけど。」

西田
「その点もインタビューで聞いてきました!第3回に出てくるので、ぜひ読んでください。」

シニア弁護士
「本当にかっこいい年の取り方をされているよね。若い頃に商社マンとしてバリバリ実務で働いて、その経験を大学で教育に活かして、定年後は、法令を英訳する政府のプロジェクトの座長を務める、なんて理想的だよね。」

西田
「そうなんですよ。しかもそれが何の計画性もないのがカッコイイと思いました。お誘いを受けた時に『面白そう』と思えば、後先考えずに『えいや』で授業を履修したり、会社に就職したり、大学に転職したりされてるんですよ。」

シニア弁護士
「まあ、柏木先生の場合は、ベースの能力が高い上に、足許の仕事に全力を尽くす努力を積み重ねておられる、ということなんだろうけど。」

西田
「そう思います。ぼくが行っているコンサルティング業務では、いろいろ見比べて散々悩んでキャリアを決めた相談者が、転職した先で早々に『ミスマッチだ』と愚痴っている姿をたくさん見てきているので(苦笑)、柏木先生の生き方はとても清々しくて『イイな〜』と憧れました。」


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