商事法務ポータル「著者に聞く!伊東祐介弁護士『新規株式上場(IPO)の実務と理論』」(2022/06/08)
商事法務ポータルに、伊東祐介弁護士のインタビュー記事を掲載していただいた。
伊東さんは、東証勤務時代の経験に基づいて執筆された「新規株式上場(IPO)の実務と理論」を、今年4月に出版されている。その本に基づいたセミナーを商事法務で収録されていたので、その収録現場にお邪魔して、収録を終えたばかりの伊東さんに(短時間ながら)インタビューをさせていただくことができた。
伊東さんに東証勤務時代の話をお伺いして、「制度を現実に回している組織に潜り込んでしまうのは、弁護士が専門性を磨くために最強の手法だなぁ」と感じさせられた。
もちろん、組織に潜り込むだけでは足りず、その中で上司や同僚から自分の仕事振りを信頼してもらって、重要案件を担当させてもらうことも大事で(実際、法律事務所では評価が高い人でも、会社組織では「使えない」と評価されてしまう例もあるし)、伊東さんは、上司にも恵まれて東証で本当に良い経験を積まれたように見受けられる。
若手弁護士からキャリア相談を受けていると、スタートアップ/ベンチャー企業を専門にしていきたいと希望するアソシエイトには、「東証で働いてみたい」と願う人がすごく多い。でも、今のところ、役所の任期付任用公務員ほどには、門戸が広く開かれているわけではない。
それだけに、伊東さんのように、上場審査の実務を東証側から経験した弁護士のアドバイスには希少価値があり、ニーズも高いのだろう。
伊東さんは、セミナーにおいて、
― 上場審査において、弁護士が準備書面的に「適法」と主張するだけの法律意見書を提出しても価値がない、
と指摘されていた。この点については、インタビューの中でも、
― 監督官庁からの回答書があるとベスト
と述べられている。
このような審査実務を伺うと、「AI契約審査サービス」が、法務省からの令和4年6月6日付け回答で「弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があると考えられる」と言われてしまったのは、リーガルテック企業の上場審査に与える影響は大きいのかもしれないなぁ、、、と考えさせられた。