
「優れたアソシエイト」と認めてもらえなくとも、「優れたパートナー」になることはできる?(商事法務ポータル伊藤雅浩弁護士インタビュー)
先週、商事法務ポータルにて伊藤雅浩弁護士(シティライツ法律事務所)のインタビュー記事が公開された。

ログイン後に閲覧できる「第3部 司法試験と就活」のパートでは、伊藤弁護士ですら、就活においては、
「何十もの法律事務所に履歴書を送りましたが、無視されるのがほとんどで、知財を扱う事務所にも面接で落とされることばかりでした。」
という苦労話が語られている。

社会人経験のあるロースクールの未修コースの学生がこれを読むと、
「司法試験でトップの成績を収めた伊藤先生ですら就活で苦労したというならば、平凡な自分にはもう無理だ」
という諦めモードになってしまうことが懸念される。
でも、このコメントから、違う意味を読み取ってもらいたい。つまり、それは、
法律事務所が新卒採用で求める『優秀なアソシエイト』の要件に合致しなくとも、『優れたパートナー』になる可能性が否定されたわけではない
という点である。
『優秀なアソシエイト』というのは、
パートナー/ボス弁にとって、使いやすい部下
を意味するものでしかない。
他方、『優れたパートナー』というのは、
クライアントにとって、信頼できる弁護士
を意味するものである。
伊藤雅浩弁護士は、正に、
― 就活において、『優秀なアソシエイト』の要件には合致しないと判断されて、何十もの法律事務所の採用選考に落とされたが、
― 実際に弁護士として働いたら、クライアントからの信頼を受けて、一流の弁護士(優れたパートナー)として認知されている、
という実例である。
司法試験を突破したとしても「学生から直接に司法試験を受けた受験生よりも年を食っている」という理由だけで、就活で高い評価を受けることができないこともある。でも、腐ることなく、何とかしてどこかの法律事務所とのご縁を見付けてもらいたい。「クライアントと直接に対峙できる市場では、もっとフェアな評価を得られるはずである」と信じて。