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【「弁護士の就職と転職」note】就活生との対話:ファーストキャリア選択(大手法律事務所のうちどこがよいか?②)

就活生
「収入については、どうでしょうか?どこの事務所で働くのが一番儲かりますか?」

西田
「アソシエイトの期間の給与体系と、パートナーになってからの報酬分配は分けて考えた方がいいと思う。」

就活生
「1年目の年俸はあまり変わらないという印象を受けているのですが。」

西田
「1年目アソシエイトに対してはどこも固定給だけど、シニア・アソシエイトになってからは、固定給にボーナスを加える給与体系と、自分の稼働時間を考慮した歩合給になる給与体系に分かれてくる。」

就活生
「固定給と歩合給はどちらが得なのですか?」

西田
「長時間労働を厭わない体力があるアソシエイトにとっては、歩合給の方が得だとは言えると思う。報酬が自分の稼働時間に比例するから、納得感がある。『固定給+ボーナス』の場合は、ボーナス査定にはパートナー側の主観的評価が加わるから、『誰よりも働いている自分のボーナス査定がなぜ低いんだ!もっと力のあるパートナーの仕事を受けていたら違う結果になるのか?』という不満が生じたりする。」

就活生
「稼働時間が少ないアソシエイトにとってみれば、固定給の方が得なのですね。」

西田
「そうとは思えないな。というのも、大手事務所に行くようなアソシエイトはみんな真面目だから、『ハードワーカーの同期よりも稼働時間が少ない自分が同額の固定給をもらっているのは申し訳ない』という引け目を感じることが多いみたい。周りのアソシエイトが働いている時間帯に自分だけ早々に帰宅するためには、歩合給の方が精神衛生には良い。『自分よりも長く働いているアソシエイトは、その分、自分よりもたくさんの報酬を貰っている』と思えるから。」

就活生
「1年目から歩合給だったら、1年目からのんびりした仕事をすることも正当化できそうですね(笑)」

西田
「いや、さすがに1年目のアソシエイトについて歩合給は難しいと思うよ。歩合給というのは、その稼働時間相当のサービスをクライアントにチャージできていることが前提となるけど、1年生アソシエイトの仕事の成果をそのまま実働ベースで請求したら、アソシエイトの教育費用をクライアントに転嫁することになってしまう。クライアントへの転嫁が不適切ならば、結局、1年生アソシエイトを外して、シニア・アソシエイト以上で案件を回すしかなくなってしまう。歩合給は『この年次のアソシエイトならば、1時間でこの程度の作業をこなすことができるはず』という期待を抱けるようになってからしか導入できない。」

就活生
「でも、シニア・アソシエイトだって慣れた案件ばかりをやっているわけではないですよね?不慣れな案件に取り組んだ成果は、慣れた案件よりも非効率になってしまうのではないでしょうか?」

西田
「本当にその通り。だから、歩合給に転換していく給与体系を持つ事務所においては『専門分野は固定給のうちに定めるべき』『歩合給になってしまったら、パートナーから新しい分野の案件を振ってもらいにくくなる』と言われている。対外的な単価も、アソシエイトの年次が上がるほどに値上がりしていくから、クライアントに対する弁護士費用負担を考慮しても『不慣れな案件は年次の若いアソシエイトにアサインした方が望ましい』ということになってしまう。だから、シニア・アソシエイトは『年次が上がってから専門分野を変えるのは難しい』という悩みを抱えたりしている。」

就活生
「最初の1〜2年は固定給でも、3年目くらいからは歩合給になっていくのは、具体的にはどの事務所なのですか?」

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