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大手法律事務所への就職は「寄らば大樹」というよりも「捨てる神あれば」という感覚かな

「noteでの記事は商事法務ポータルでの連載の焼き直しですね」というご指摘をいただきながらも、敢えて、それを繰り返して、今回は「就活は『寄らば大樹の陰』が無難なのか?」(2017年6月26日)の再掲。

要するに、
・ プロフェッショナルファームは(会社のように解雇権が制限されているわけではないので)パフォーマンスが悪いアソシエイトは切られざるを得ない。
・ 大手法律事務所のほうが、毎年、優秀な新人が大量に入ってくるので、パッとしないアソシエイトは、年次が上がるほどに「優秀な後輩に抜かれる」「事務所内に居場所がない(=使ってくれるパートナーがいない)」という事態に陥りやすい。
・ 他方、中小事務所の方が、採用数も少なく、人材の層が薄いので、「そこそこ仕事ができるならば、パートナーから仕事を振ってもらえるので居場所を確保しやすい」という事情がある。
・ なので、自分の能力に自信がなければ、大手事務所で長く働ける可能性は低いと予想すべき(他方、数年で転職するための経歴作りには最適)
という内容を書いていたと思う(読み返してないから正確じゃないけど)。

でも、逆に、
・ 自分の能力については何も心配していない。同期よりも仕事ができる自信はある。
・ でも、自分の性格には難があるので、人付き合いは得意ではない。
という人にとっては、大手事務所は魅力的かも。

というのも、中小事務所は、良い事務所のほど、
「家庭的な雰囲気」
が売りになっている。そのため、
「ネームパートナーに嫌われる」
というのは、その事務所での勤務継続にとって致命的な問題となり、どれだけ優秀なアソシエイトであっても事務所内に居場所を失ってしまう。

他方、大手事務所には、多数のパートナーがいて、同一グループ内にも複数のパートナーがいる。そのため、
「最初に配属されたグループの指導担当パートナーとはまったく合わないで干される」
という事態に陥っても、そこですぐにゲームオーバーというわけではなく、優秀でさえあれば、敗者復活戦的に、横にいたパートナーから、「お試し」で仕事を振られて、
「こいつ、性格は悪いけど、結構使えるじゃん」
と思ってもらえる可能性もある(そして、「拾う神」側のパートナーが「再生工場」なんて呼ばれたりする。パートナー審査の年次まで「捨てる神」側のパートナーからのマイナス評価を打ち消せなければ、パートナー昇格は難しくはなるが、それでも、何年も先の話なので対策の余地もある)。

ということで、
― 能力に自信はないけど、人柄には自信がある、
とう就活生には「家庭的な中小事務所」がオススメで、
― 仕事はできるけど、性格的には難があると自覚している、
という就活生には「大手事務所」がオススメ。
(将来、パートナーになった後のことを考えても、「仕事はできるけど、性格が悪い」ならば、自分の仕事を手伝ってくれるアソシエイトの採用にも苦労することになるので、「大手事務所のブランド」を借りて仕事をしていく方が賢いと思う。)


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