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『ひまわり求人』を読む(10)EY LAWを題材として

M&Aを専門とする弁護士の多くは、クライアント企業からの直接の依頼を受けるというよりも、フィナンシャル・アドバイザーからの紹介を受けて案件に携わる。

クライアント企業にとってみれば、まずは、財務・会計・税務の専門家に相談することが第一なのだろう。弁護士は、ある程度の方針が固まって、エグゼキューションが見える段階になってから参画することが多い。

もし、リーガル・サービスを財務・会計・税務の専門家とワンチームで提供することができれば、より早い段階から案件に携わり、効果的なアドバイスができるのではないか。そういう夢のようなビジネスモデルを体現できる場が、国際的な巨大会計事務所グループBig4のメンバーである弁護士法人であろう。

日本において、初めて、Big4でリーガルサービスをスタートさせたのが、EY弁護士法人である。ここでは、英国系マジックサークルのひとつであるフレッシュフィールズブルックハウスデリンガーでパートナーとして活躍されていた木内潤三郎弁護士がマネージングパートナーを務めているので、日本企業の海外進出においても、外国企業の日本進出においても、総合的なワンストップサービスを提供しているのだろう、という想像が膨らむ。

弁護士にとって、巨大会計事務所グループと連携することのメリットについては、商事法務ポータルで私見をまとめて理解したつもりでいた(弁護士の就職と転職Q&A「Q22 なぜ弁護士が税理士・会計士と連携するのか?」2017年11月6日)。

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しかし、ひまわり求人におけるEY弁護士法人の求人情報を見て、弁護士が単独ではなく、隣接分野のコンサルタントと連携して取り組むサービスがさらなる進化を遂げていることに気付かされる。ここには、「法務機能コンサルティング」「リーガル・マネージド・サービス」という新しいキーワードが目を引く。

ひまわり求人の特色

「クライアント企業の法務機能の強化やDX支援を行う業務」とは何なのか?興味を抱いてインターネットで検索してみると、Business & LawでのEY弁護士法人のインタビュー記事を見付けることができる。

business & Law 室伏

確かに、単に、外部法律事務所としての経験を積んできただけの弁護士が、会社の内部の管理体制についてアドバイスをしても、クライアント企業に対する説得力はないだろう。しかし、室伏康志弁護士のように、欧州系の世界最大規模の金融コングロマリットであるクレディ・スイスの日本におけるジェネラル・カウンセルを務められてきた方が関与されるならば、話は別だ(部外者から見ても、その就任期間は、決して穏やかに予防法務だけに務められていたわけではなく、深刻なリーガルリスクが顕在化して法務・コンプライアンス部門の真価が問われた時期であったように推察されるため、座学ベースの教科書的なアドバイスではなく、現場体験に基づく実践的なアドバイスを期待することができる)。

ひまわり求人のまつび?

次世代を担う若手弁護士が、今後、習熟していくべきスキルセットを「リーガル✖️英語」と「リーガル✖️テクノロジー」と設定した場合には、EY弁護士法人の求人は、他の事務所では得ることができない経験を得るためのチャンスとして映るだろう。



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