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『ひまわり求人ナビ』を読む(4)アシャーストを題材に

「ひまわり求人」に掲載されている個別の求人情報を読んでみる、というのをしてみたいと思い、まず、「法律事務所用」のトップに掲載されている「アシャースト」をクリックしてみる。

これは、英国系のアシャーストと豪州系のブレークドーソンが合併してできたインターナショナル・ローファームの東京オフィスの求人だが、読み始めてすぐに、
「あ、ひまわり求人のフォーマットは、外資系ローファームの求人には適してないな。。。」
と気付かされる。

というのも、「ひまわり求人」には、「事務所の構成」欄に、
― 弁護士数(日本資格のみ)
― パートナーの構成
― アソシエイトの構成
― 事務職員数
という項目が並んでいる。

これは、日本の普通の事務所を想定していたら、おかしな項目ではないが、英国系ファームが真面目にこの項目に数字を埋めると、

アシャースト人数3

と、
― 日本法弁護士「3名 男性:1名 女性2名」
― パートナー「男性:4名」
― アソシエイト「男性:4名 女性:4名」
― 事務職員「9名」
という謎の構成が記載されることになる(弁護士が3名しかいないのに、事務職員を9名も抱えており、日本法弁護士の数を超える人数のパートナーやアソシエイトの数が何を表しているのか不安にもなる)。それに加えて、「執務条件」の「就業場所」には、
― 「東京」「全29拠点」「転勤の可能性 有」
などと記載されたら、「地方に多数の支店を設けて、弁護士よりも事務職員中心で仕事が回っている債務整理系事務所で、東京で採用された後にすぐに地方に飛ばされる」というシナリオまで懸念しなければならないかのようにも見えてしまう。

そんな誤解を生みそうな記載しかできないアシャーストもかわいそうだ。。。(せめて、現行の書式内で、できることといえば、「その他の有資格者」欄に、外国法資格者を記載するくらいだろうが、できれば、全世界の1000人規模の人数と東京オフィスを分けて両方とも記載したいところだろうな)

また、「転勤の可能性」の有無に関する項目も、ひまわり求人のサイト運営側としては、「地方転勤がないことを確認したい」という求職者への「ネガティブチェック」の情報提供を目的として設計されたのだろうが、アシャーストのように、転勤先が「ロンドン」や「オーストラリア」ならば、キャリアを広げるような積極的な魅力を伝えることができる項目へと変わってくる。

ぼく自身は、アシャーストの東京オフィスに対しては、もともとは、
― アウトバウンド系のプロジェクトファイナンスに強い事務所。日本の総合商社や政府系金融機関を代理して、外国法弁護士が中心となり、海外ファイナンス案件を代理している。
というイメージを抱いていた。

そのイメージが変わったのは、2018年10月に、商事法務ポータルのインタビューのために、アシャーストのロンドンオフィスで勤務されていた岩村浩幸先生のお話をお伺いした時のことだ。

商事法務ポータルの画面1

岩村先生は、日本企業をクライアントとして、コーポレート/M&A分野でアウトバウンド案件での信頼を集めている弁護士である。日本企業としても、直接に、英国・EUのローファームを起用して一流のリーガルサービスを受けられながらも、かつ、コミュニケーションにおいては、日本語ネイティブの説明を受けられるために、アウトバウンド業務において、質とコスパを両立できるアドバイザーとして位置付けているのだろう。

今回、ひまわり求人に掲載された情報には、「取扱事件」に(ファイナンスではなく)「M&A・企業再編」と記載されていることからしても、

アシャースト取扱事件1

今回のポジションは、岩村先生の事件を担当することが想定されていることが窺われる。

しかし、岩村先生は、英国法と米国法の資格で活動をされており、日本法資格では働いていない。そのため、岩村先生が東京オフィスに来たとしても、この「弁護士数」欄にはカウントされないことになってしまうのか。。。。

そういえば、岩村先生のインタビューの最後で、「外国人とのコミュニケーション方法」に関して助言を求めた際に、「アメリカ人」と「イギリス人」を区別して教えていただいたコメントが面白かった。商事法務ポータルでは、会員登録しなければ見られない後半パートに記載されていたので、以下に引用させてもらおう。

(西田)外国人弁護士とコミュニケーションを取るに際して、これを円滑にするためのヒントはありますでしょうか?
(岩村)これは、アメリカ人とのコミュニケーションと、イギリス人とのコミュニケーションで微妙に違うと思っています。

(西田)アメリカ人とのコミュニケーションで注意する点は何ですか。
(岩村)アメリカ人は、彼ら自身がストレートに物を言ってくるので、こちらからも、ストレートに言いたいことを言っても、あまり怒らないですよね。思ったことを素直に伝えればいい、と思います。もし、怒らせてしまっても、謝れば、笑って済ませてくれることが多いです。

(西田)イギリス人の場合には、ストレートに物を言わないほうがいいのでしょうか。
(岩村)イギリス人は、けっこう、日本人に近いと思います。あんまりストレートに言われると、むっとされることがあります。そして、そのことを忘れません。そういう意味で日本人っぽいですね(笑)。
(西田)では、イギリス人とコミュニケーションをするには、どうすればいいのでしょうか。
(岩村)イギリス人には、くどいと思うくらいに丁寧に、へりくだってコミュニケーションをとっておいたほうが無難だ、と個人的には思っています。
(西田)でも、英語でへりくだった表現を用いるのは、高等技術を要しますよね。
(岩村)なので、できるだけ、イギリス人とは、メールだけでなく、電話とか、直接に会って話をすることを心がけたほうがいいと思います。直接にあったり、電話で話したりすると、あまり激しいことは言えないじゃないですか。
(西田)日本人は、英語が苦手な分だけ、英語で表現すると、表現が強すぎてしまう、と言われることもありますよね。
(岩村)はい。日本人が英語で文章を書くと、ぶっきらぼうになってしまったり、不適切な表現を用いてしまうことがよくあります。
 その点、日本人が、イギリス人に会いに行けば、英語の下手さがプラスになって、「下手だからしょうがないか」と理解してもらえることもあります。イギリス人に対して、メールだけでなく、直接に会って話をすることを強く勧めています。 」



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