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『ひまわり求人ナビ』を読む(5)三井物産を題材として

「ひまわり求人ナビ」の「企業・団体」に並んでいる企業名を見ると、
「やっぱり、こういう一覧表になると、著名な一流企業は採用で大きなメリットがあるな」
と感じさせられる。

「ひまわり求人」は、検索結果の一覧を見るまでの距離は近いが、そこから、個別企業を選んでクリックするには一手間かかる。そして、一手間かけてクリックして個別のサイトを開いてみると、ごちゃごちゃした画面が現れるので、その項目を一つ一つチェックする意欲を削がれてしまいがちだ。

そのため、「ひまわり求人ナビ」を最も有効活用できる先は、
― 名前を見ただけで、どんな企業か?をイメージできる著名な一流企業
である。

検索結果の一覧表から「あ、三井物産も弁護士を募集しているのか!」と知らせるだけで、目的は達成できる。あとは、ひまわり求人の図表よりも、ずっと美しく洗練された物産の求人サイトを通じて勧誘することができるからである。

佐藤香織さん

逆に言えば、知名度が低い他の企業は、
― 検索結果一覧において、天下の三井物産と並べられた上で、候補者の目に留まるようにアピールしなければならない、
という、超ハードモードのゲームに参加させられていることになる。

リスト小さい字

実際、業務内容的にも、
― 総合商社
は、法律事務所で働いているアソシエイトが「インハウスに転向しよう」と考えて、真っ先に頭に浮かぶ、優先度の高い業態である。

その理由は、「景気が良ければ、ボーナスが高い」という金銭報酬への期待だけではない。「弁護士としてのキャリアプラン」の観点からの人気が高い。

というのも、「法律事務所から企業に転向する」という際に、もっとも、大きな懸念は、
「クライアントが一社に限定されてしまうこと。それによって、経験の幅も狭まってしまうこと」
にある。

この点、総合商社であれば、取り扱っている事業分野が幅広いし、海外への投資も活発なので、クロスボーダーの大型トランザクションにも携われることが大きな魅力となっている。

それが「社内の出世競争に勝ち残るぞ!」というキャリアパスの他にも、「トランザクション経験を積んで、再び法律事務所に戻りたい」とか「社内で残れずに他の会社に転職を考えた場合にも選択肢が多いだろう」という期待につながっている。

日本組織内弁護士協会(JILA)が発表している「企業内弁護士を多く抱える企業上位20社」でも、2021年6月時点で、22人で8位となっている(三井物産には、司法修習を終えて(修習に行かずに)直接に入社する方もいると思うので、司法試験合格者数では4位の三菱商事に並ぶかこれを上回る人数かもしれない)。

JILAランキング

インターネット検索サイトで「三井物産」「弁護士」を検索してみれば、Attorney’s MAGAZINERの2022年1月号に掲載されている法務部のインタビュー記事が見付かるだけでなく、

2016年10月に掲載されているBUSINESS LAWYERSのインタビュー記事や、

日弁連がインタビューした記事を見付けることもできる。

実際に応募する際には、これら記事に目を通した上で、「なぜ、三井物産に応募したのか?」の志望動機を起案することになるのだろうな。






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