法律事務所の採用面接は「口述試験」ではありません(一部例外を除く)
「面接には、リラックスして自然体で臨んだほうがいいよ」
と言われる。これを誤解している就活生がいる。面接を終えた就活生から、
「緊張してロジカルな回答ができなかった」
という反省の言葉を聞くことがある。でも、おそらく、面接官は、あなたが帰った後に、
「今の候補者は、ちょっと回答がロジカルじゃなかったよね」
なんていう風に評価はしない。面接官に残る印象は、
「ちょっと暗かったな」
とか
「機嫌悪そうだったね」
といったものである。
基本的に、法律事務所の採用選考において、
「こいつが優秀かどうか?」
についての審査は、おおむね書類選考で済んでいる。学歴、学校の成績、予備試験の成績を見れば、「だいたい、この人は候補者の中でこの辺りに位置付けられるね」という、あたりがついている。
真面目な就活生ほど、
「面接で挽回しよう!」
と気負って、ロジカルな自分をアピールしたくなるが、それによって、笑顔がなくなってしまうことのほうが大問題である。
面接を担当するパートナー弁護士は、事務所を訪問してくる就活生に対して、
「この人は、どんな性格をしているんだろう?」
「うちの事務所に来てもらった場合に、他のメンバーとうまくやっていけるかな?空気が悪くならないかな?」
という点をチェックしている。
なので、「ロジカルな受け答えをしよう」と就活生が緊張するほどに、「笑顔がなく、暗い感じ」というネガティブな評価を受けるリスクが高まってしまう。
成績がイマイチでも、幸運にも面接に呼んでもらえたならば、(「優秀さ」の審査項目での逆転を狙って気負うのではなく)性格の明るさやエピソードトークを用いた人間らしさをアピールする方が筋はいい。