備忘録/弁護士の就職と転職/人材紹介業者による「熱意の水増し」
人材紹介業者による

備忘録/弁護士の就職と転職/人材紹介業者による「熱意の水増し」

キャリア・コンサルタントとしては、面接に臨む候補者に対して、
「ぜひ貴事務所で働きたい、という意欲をストレートに伝えた方がいい。そのほうが良い印象を与えられる」
というアドバイスをするのが多数説です。

ただ、冷静に考えてみると、
「『いま自分が働いている事務所はすぐにでも辞めたい。そして見ず知らずのあなたの事務所でぜひ働きたい。』って、一体どんな奴なんだ?」
という気もします(苦笑)。

なので、転職活動中のアソシエイトの本音を代弁すれば、
・ 今の事務所と合わないことは判明したので、自分を気に入ってくれる事務所があるならば、話をしてみたい。
という程度の興味・関心が実際のところです。

ここで、法律事務所の採用担当パートナーが、
・ 単なる社会科見学に付き合うほど暇じゃないけど、本気でうちで働きたいという熱意がある候補者ならば、もしかしたら、いい人かもしれないので会ってみたい。
という受け身の姿勢だった場合には、いつまで経っても両者に接点は生まれません。

そんな時、人材紹介業者は、「二人を引き合わせたら、化学反応が起きるかも!」という期待を感じたときには、
・ 一方では、候補者に対して、「あなたの略歴をちらっと話したら、ぜひ会ってみたいと言っているのですが」と、採用側の熱意を3割増しで伝えて、訪問を勧誘し、
・ 他方では、法律事務所の採用担当に対して、「ぜひ貴事務所の先生にお会いしてみたいと言っているのですが」と、候補者側の熱意を3割増しで伝えて、訪問への応待を依頼する、
という、拡声器型のメッセンジャーボーイとして面談を設定してしまいます。

そして、実際に顔を合わせた両者の相性が良ければ、会話も盛り上がり、「水増し分」の熱意と興味・関心は、事後的に追認されることになります(会った上で不発に終われば、そこで「ご縁がなかった」と確認されることになります)。

ズルいと非難されてしまうリスクはある手法ではありますが、
「志望動機は、採用選考の終了時(訴訟手続でいえば、弁論終結時)までに沸点に達していればいいのであり、面接(一次又はカジュアル)の入口段階では、『事務所のことを知りたい、という程度の関心はある』ならば通過させてしまって、面接を続けて事務所のことがわかっていく中で、『ぜひここで働いてみたい』という水準まで熱意が高まったならば、それで結果オーライではないか?」
とも開き直ってみたりもします(もっとも、これは、採用側から見て十分に魅力的なスペックを備えた候補者にだけ使える手法ではありますが)。


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弁護士(第一東京弁護士会)で、キャリアコンサルティング&ヘッドハンティングをしています。著書「新・弁護士の就職と転職」(商事法務、2020年)。商事法務ポータルに「弁護士の就職と転職Q&A」を連載中 https://www.shojihomu-portal.jp/gyoukai