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司法試験の合格順位が高いのは「弁護士としての優秀さ」の証なのか?

現在の司法試験では、合格発表に続いて、受験生は成績通知書を届けられて、自分の順位を知らされる。受験生に自分の成績を開示する義務はなくとも、法律事務所は採用活動において成績通知書の提出を求めるため、合格しても、その順位が低いと、就活で苦戦を強いられることになってしまう。

では、「司法試験の成績さえ良ければ、弁護士として優れているのか?」と言えば、そのような実証研究の成果を見たことはない。実際問題として、クライアントが、依頼する弁護士を選ぶ際に「司法試験の成績を教えてください」と聞いてくることはない。クライアントが弁護士に期待するのは、単なる「法律知識」ではなく、「判断力」を含めた全人格的なものだ。もし、弁護士が司法試験の順位を自慢してきたら、クライアントも引いてしまうだろう。

ただ、法律事務所による新人弁護士の採用活動は、「パートナーとして優秀(そう)なのは誰か?」を選ぶ場ではなく、応募者の中から「アソシエイトとして優秀(そう)なのは誰か?」を選ぶ場である。パートナーにとって「自分がクライアントに対してリーガルサービスを提供するための補助業務を依頼する下請け要員に求める資質や能力は何か?」と言えば、それは、リサーチ力や事務処理能力である。とすれば、「リサーチ力や事務処理能力≒司法試験の成績」という推認を働かせて書面審査を行う、という採用側の論理にも理由はある。同じ試験を受けた複数の応募者を見比べたら、合格順位が高い応募者を優遇するのは自然なことだ。

もちろん、「アソシエイトとしての優秀さ」を示す材料は、司法試験の結果に限るものではない。ただ、採用側に対して「試験結果の悪い候補者にも何か他に考慮すべき点がないかどうか?」を手間暇かけて確認してくれることを期待するのも難しい。合格順位がパッとしない就活生は「(司法試験以外の)何か別のプラス材料」を自らアピールすべき(就活生の側にその主張立証責任が課されている)と考えておくべきだろう。


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