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【「弁護士の就職と転職」note】就活生との対話:ファーストキャリア選択(大手事務所vs中規模事務所)

就活生
「ファーストキャリアとしては、大手法律事務所、外資系法律事務所、中規模事務所、どれがいいと思いますか?」

西田
昨年もnoteで取り上げたテーマではあるけど、これまでに聞いてきた就活生の選択結果からすると、『外資系に行きたい』とか『この法分野で著名なこの先生に師事したい』という明確な動機がない限りは、大手事務所を選ぶ傾向ある。なんとなく『大手の方がリスクは低い』というイメージがあるんだろうね。」

就活生
「実際はどうなんですか?」

西田
「嫌味な言い方になってしまうけど、『事務所として業務範囲が広くてリーガルサービスの質が高いこと』と、『そこに入所する1アソシエイトであるあなたが得られる経験の幅』は違う、とは指摘しておきたくなる。」

就活生
「事務所の業務範囲が幅広くても、アソシエイトが担当できる分野は限られてしまうということですよね?」

西田
「うん。規模が大きいからこそ、分業が成り立つので、個人としては担当する業務範囲が狭くなる傾向がある。」

就活生
「でも、多数のパートナーがいることはメリットですよね?規模が小さい事務所は、パートナーと合わなかった時のリスクが怖いです。」

西田
「ただ、大手事務所だって、アソシエイトが自分の尊敬できるパートナーだけを選んで仕事できるわけではないから、『配属ガチャ』的な要素も大きい。ミスマッチが起きた場合の後悔の度合いを比較したら、自分の意思で中規模事務所のパートナーを選んだ場合の方が自己責任だと納得できる、という考え方もある。」

就活生
「大手でパートナーと合わなかったら、配属を変えてもらうことをお願いすればいいのではないでしょうか?」

西田
「転職相談を受ける立場からすれば、ジュニア・アソシエイトの場合には『配属を変えてもらってまで事務所に残ろうとするよりも、事務所を変えて心機一転の仕切り直しをしたい』と考える人が多いと感じるね。」

就活生
「ファーストキャリアとしての大手と中規模との比較については、大手事務所で働いている先輩からは『大手事務所から中規模事務所への転職はあるけど、その逆はない。だから、大手に入っておいた方が無難だ』というアドバイスを受けます。これは間違ってないですか?」

西田
「その先輩自身がそう判断して進路を選択したのだろうね。それは、その通りだと思う部分もあるけど、中規模事務所の側からすれば『そんなに都合よく大手からの転職を受け入れているわけじゃない』とも言いたくなるよね。」

就活生
「どういう意味ですか?」

西田
「外資系事務所や中規模事務所の採用選考において、大手事務所に所属しているアソシエイトは書類選考を通過しやすい面があるのは確かだと思う。外資系は、ローカル(日本)のトップファーム出身の弁護士の受入れを好むし、中規模事務所も『いい加減なトレーニングしか受けていない先からは受け入れたくない』『うちと同等以上に厳しいトレーニングを受けている候補者が望ましい』と考えるので、大手事務所のアソシエイトは、質の高いトレーニングを受けていることを期待できる点では選考において有利だよね。」

就活生
「では、『転職を受け入れてもらえない』という理由も教えてください。」

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